戦争中は今のような合成洗剤もなく、石鹸も入手出来なかった。たまに石鹸の配給があっても戦争末期には石鹸の代わりにベントナイトという粘土のようなものの固まりだった。
こすりつけても泡はほとんどなく、皮膚はひりひりした。植物の中に泡立つ汁を出すものがあってそれを使ったこともあった。洗濯にも石鹸はなく、その他の洗剤も何もなかったのできれいになるはずがなく、風呂に入っても体を洗う石鹸がないのですっきりしなかった。戦争が終わり石鹸が出回ってきた時、私は正直、人類の歴史の中で最高の発明品は石鹸だと思うようになったが、その気持ちは現在も変わっていない。
家内が病気で、ヘルパーさんにビニール浴をしてもらっているが、ある時期もっと良い石鹸がないかと思って英国からもいくつか取り寄せたことがあった。どれも香が強くて拒絶感が生じ、泡立ちも荒く、結局再び牛乳石鹸赤箱が愛用の品になっている。