大学に入学するために上京し、初めて銭湯を利用することになりました。それまでは銭湯に行った経験もなく、銭湯の値段も営業時間も知らなかったのです。何度も前を通り、暖簾が下りているのを確認して恐る恐る入りました。洗面器とシャンプー、リンスそして石鹸箱の中には香りの良い牛乳石鹸。
財布をしっかり握り締めて番台の小母さんに言われた金額を払いました。300円少々だったかなぁ。新しい石鹸は表面が硬く、擦るたびにきれいな泡が立ちました。周りを見回す余裕もなく、ひたすら石鹸をあわ立てては身体を洗い、シャンプーしてあがりました。石鹸の甘い香りが漂う脱衣場でやっとホッとしました。